ハリス・カーン著
旅人が
足場の上の3人のレンガ職人に出会いました。旅人は最初の職人に尋ねました。「何を
しているのですか?」
最初の人はこう答えます。
「私は賃金を稼いでいます。」
すると旅行者は
2人目の旅行者に「何をしているのですか?」と尋ねました。
2番目は
「壁を建てている」と答えます。
彼らは同じ
「仕事」をしている。どちらがより良いレンガを積んでいるだろうか?
すると旅人は
3人目の旅人に「何をしているのですか?」と尋ねました。
3番目は
「大聖堂を建てているんです」と答えます。
この物語は、「全体像」を捉える思考が、日々の業務においてどれほどの力を発揮するかを物語っています。しかし、この物語は
CIOとしてのあなたの仕事とどのように関連しているのでしょうか?IT部門が
ビジネスの全体像における自らの役割を理解できれば、
チームにとってより不可欠な存在となり、ITスタッフも自らの行動が
ビジネス全体に影響を与えることを実感できるようになります。こうしてITスタッフは、単なる働き者ではなく、ビジネスのパートナーとして行動できるようになります
。ビジネスの成功における自らの役割を認識することで、
顧客グループが求める技術要件を単に満たすだけで
なく、革新的な提案や意思決定を行えるようになるからです。ITスタッフが
全体像を理解し、全体像を捉える
思考力を持つことができれば、付加価値を生み出す能力は飛躍的に高まります。
IT 部門が全体像を把握していれば、組織の他の部門はIT 部門
を単なるサポート部門としてではなく、
ビジネス パートナーとして捉え、コンサルティング業務を委託せざるを得なくなります。
全体像の力
肝心なのは、全員が全体像を把握する必要があるということです。
このような考え方は文脈を創り出し、私たちが
生き、働く上で目指す価値観を尊重することを可能にします。一般的に、人は価値観だけで動かされるわけではありません。むしろ、成果
に惹かれます。
あなたとあなたのスタッフがビジネスとの繋がりと一体感を強く感じれば感じるほど、
「私たちと彼ら」という概念に囚われる可能性は低くなります。この考え方を避けることで、ビジネス
を共有する他者との繋がりをより強く感じるようになり、他者との
関わりにおいて自分の価値観を無視する可能性が低くなります
。
全体像を把握することが重要な他の理由は次の通りです
。
- 判断を下す時、
ビジネスに有利な判断を下す可能性が高くなります。これにより、
戦場での行動の最中でも自信を持って決断を下すことができます。 - 全体像を把握するには、明確さが重要です。つまり、
自分がどこに向かっているのか、そして自分の行動がビジネス目標と整合しているかどうかを把握することです。
全体像を明確に意識することで、あらゆる意思決定や行動を、それがビジネスに
どのように貢献し、あるいは阻害するのかという観点から検討できるようになります。 - 優れたマネジメント能力を持つITチームは、全体像を念頭に置いて業務
に取り組みます。プロジェクト自体を
ビジネスにおける最大の視点として捉えるのではなく、
プロジェクトをより大きなビジネスの範囲内で捉え、ビジネス全体の
方向性を見据えます。 - ビジネスが個人にとってより意義深いものになればなるほど、成功をもたらすために人々はより多くの努力を払うようになります。これは、個人ではなく組織が「所有」する
ミッションステートメントやビジョンステートメントとは大きく異なります。
結果に基づく思考
この全体像への意識を、私たちは「ラインの上か下か」と考えることがあります。図A
に示すように、「ラインの上か下か」では状況が重視されます。つまり、意思決定は結果に左右されるのではなく、状況に正当化された反応となるのです。つまり、
結果をコントロールする力は弱まるのです。
図A |
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一方、図B
は、
線の下を生きる人が望ましい結果を最優先にしていることを示しています。その結果、あらゆる意思決定は、
状況に応じて「正しいかどうか」ではなく、結果への
影響に基づいて判断されるようになります。
図B |
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結果に基づく思考を実践することで、
アイデアは誰か一人の責任ではなく、努力
だけで望ましい結果につながる答えにたどり着けるわけではないことが理解できるようになります。
どんな問題であっても、個人の考え方を変えることで解決できます
。重要なのは、チームとして協力し、結果に基づく
思考を実践することです。組織のリーダーは、これが単なる方法論ではないことに気づくでしょう
。実践は解決策へとつながります。その理由は次のとおりです。
- 企業のあらゆる部門に所属する個人が、自分がどのように企業
全体の目的と関わり、貢献しているかを理解することが重要です。これは特にIT部門の担当者にとって重要です。
個人は、組織の真の存在目的である
「ビジネス」に貢献できるように調整された作業グループに編成される必要があります。- ビジネスに貢献するというコミットメントは、
作業グループまたはチームに貢献するというコミットメントとは異なります。 - しかし、個人が
自分のワークグループ、部門、
そして組織全体とどのようにつながり、貢献しているか、そしてその「システム」がどのように
ビジネスをサポートしているかを理解することも同様に重要です。 - 組織内で相乗効果を発揮してビジネスを成功させるには、個人が
他の作業グループや部門とどのように連携し、貢献するかを理解することも重要です。 - 個人は、単にプロジェクトの成果や部門のニーズに
どれだけ貢献しているかではなく、個々の意思決定や行動が企業の業務にどのように貢献しているかという観点から、意思決定や行動を評価する必要があります。
ITチームのメンバーは、自分自身と自分の仕事をビジネスの中核と捉え、IT
機能をビジネスの付属物と捉えないことが重要です。ITはビジネスのあらゆる側面に織り込まれた不可欠な要素です。ITチームが自らをこのように捉え、あらゆる取り組みにまさにそのような考え方で取り組まなければ、
組織の他のメンバーもITをそのように捉えることは難しいでしょう。
ITチームのメンバーが
組織内での自らの立場と、組織のビジネス(
組織内の他部門だけでなく)に貢献する役割を理解するにつれて、他のメンバーは彼らを、
単にプロセスを支援するだけでなく、真にビジネス成果に貢献するソリューション
を提供できる、信頼できる重要かつ不可欠なパートナーと見なす可能性が高まります。
その結果、適切なソリューションで社内クライアントに影響を与える機会が増えます
。こうした役割認識と、
ビジネスへの理解とコミットメントが相まって、
社内クライアントのニーズをはるかに超えるソリューションを生み出し、
最終的にはビジネス全体に利益をもたらすことができるようになります。
ハリス・カーン・
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