
クラウドコンピューティングの中心的な概念は比較的シンプルです。オンサイトサーバー、ファイアウォール、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェアの管理といった煩わしさを感じることなく、インターネット経由でアプリケーションやデータを展開し、アクセスするということです。クラウドコンピューティングは、多くの日常的な業務の責任を企業管理者からクラウドサービスプロバイダーへと移行させます。
テクノロジー関連の意思決定者がクラウド移行の選択肢を検討する際、選択肢は急速に狭まります。AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、IBM CloudはいずれもエンタープライズITクラウドのリストに名を連ねており、前者2社は市場シェアでリードすることが多いものの、後者2社もそれぞれ真剣に検討する価値があります。Google CloudとIBM Cloudの主な違いについては以下で説明しますが、両ベンダーとも事業拡大と進化を続けているため、最新情報については各ベンダーにお問い合わせください。
参照: 採用キット: クラウド エンジニア (TechRepublic Premium)
ジャンプ先:
- Google Cloud とは何ですか?
- IBM Cloud とは何ですか?
- Google CloudとIBM Cloudの機能比較
- Google Cloud と IBM Cloud: どちらを選ぶべきでしょうか?
- あなたのクラウド経験はどのようなものですか?
Google Cloud とは何ですか?

Google Cloudは2008年以来、高性能なクラウドアプリケーション、データベース、ストレージ、アナリティクスの開発、運用、管理、分析を支援する幅広いサービスを提供してきました。Google Cloudソリューションは、様々な画像、テキスト、音声サービスを提供するAIおよび機械学習ベースのシステムへの接続も提供しています。著名な顧客には、メジャーリーグベースボール、Snap、Twitterなどが挙げられます。
IBM Cloud とは何ですか?

IBMは2013年にSoftLayerを買収し、クラウド市場に積極的に進出しました。また、2019年にはRed Hatを買収し、オープンソース技術の採用を進めました。同社のクラウドサービスには、ベアメタル上のマネージドKubernetesサービスやIBM Cloud上のRed Hat OpenShiftなどが含まれます。2015年のThe Weather Companyの買収は、多様な機械学習機能の活用を可能にするだけでなく、小売業者などの顧客にビッグデータに基づく実用的な予測を提供するのに役立っています。IBM Cloudのその他の著名な顧客には、アメリカン航空、エクソンモービル、全米オープンなどが挙げられます。
Google CloudとIBM Cloudの機能比較
移行機能
Google Cloud は、顧客のクラウド移行に合わせて、企業の移行またはモダナイゼーションを支援するソリューションを提供しています。標準的な移行プロセスでは、オンプレミスシステムまたは他のクラウドソリューションから仮想マシンを Google Compute Engine に移行します。
Google Cloud のモダナイゼーションでは、アプリケーションをコンテナに移行し、Anthos クラスタ、Cloud Run、または Google Kubernetes Engine で実行できるようにする場合があります。Google が Google Cloud Next '22 イベントで発表した Migration Center は、これらの移行を支援することを目的としています。Dual Run を利用すると、既存のメインフレーム システムと Google Cloud ソリューションを連携して実行できるため、高い信頼性を求める慎重なメインフレーム ユーザーにとってスムーズな移行が可能になります。
Anthos は、Google Cloud、他のクラウド ソリューション、エッジ システム、オンサイト システムに分散された多様なアプリケーション群を管理者がより容易に監視できるように設計された、Google のマネージド プラットフォームです。Anthos は、ハイブリッド クラウドまたはマルチクラウド環境における多くのタスクを簡素化および自動化し、ワークロードの配置場所に関係なく、適切なアクセス、ポリシー、システムのパフォーマンスを確保することを目指しています。
IBM Cloudは、クラウドへの移行において2つの幅広いアプローチを推進しています。1つ目は、リフト&シフトです。既存のアプリケーション、ワークロード、データをIBM Cloudに移行できます。IBMは多くの企業と長年にわたり協業してきた実績があり、このアプローチは多くの大企業や政府機関のお客様のニーズを満たす可能性が高いと考えられます。2つ目は、アプリケーションのモダナイゼーションです。アプリケーションを標準的なサーバーやメインフレーム中心のアーキテクチャーから、最新のコンテナやサーバーレス・コンピューティング構造に移行します。
IBM は、ワークロードをクラウドに移行するための 4 セットのソリューションとツールを推進しています。
- IBM Cloud Classic to Classic は、IBM Cloud クラシック環境内のあるベアメタル サーバーから別のベアメタル サーバーに移動するのに役立ちます。
- IBM Cloud Classic から IBM Cloud へ。ベアメタル サーバーから仮想サーバー インスタンス環境への移行を支援します。
- 仮想化されたワークロードを IBM Cloud に移行します。これにより、VMware 仮想マシンから IBM Cloud 上の仮想サーバーにワークロードを移動できるようになります。
- DIY 自動化。Intel x86 仮想マシンを IBM Cloud 仮想サーバー インスタンスに移動するのに役立ちます。
世界中で利用可能
クラウドベンダーのデータセンターの所在地は、顧客のパフォーマンス認識に大きな影響を与える可能性があります。顧客に近い場所からアプリケーションやデータが配信されると、レイテンシが低くなる可能性がありますが、距離が離れると遅延が発生する可能性があります。両社とも、提供されているすべてのクラウドサービスが、表示されているすべてのクラウドデータセンターの所在地から利用できるわけではありません。
Google Cloudは、35のリージョン、106のゾーン、173のネットワークエッジロケーションで利用可能であると発表しています(図A)。同社は、Google Cloudが200以上の国と地域で利用可能であると発表しています。重要なのは、Googleが現在の運用においてカーボンニュートラルであると主張しており、2030年までにすべてのデータセンターで常時カーボンフリーエネルギーで稼働するという目標を掲げていることです。
図A

同様に、IBM Cloudは、9つのリージョンと27のゾーン、46のデータセンターにまたがるワークロードの展開を支援しています(図B)。IBMは175カ国以上の顧客にサービスを提供しています。IBMの2021年環境・社会・コーポレートガバナンス報告書によると、IBMは2030年までに世界中で使用される電力の90%を再生可能エネルギー源から調達するという目標を設定しています。
図B

Google Cloud と IBM Cloud: どちらを選ぶべきでしょうか?
Google CloudとIBM Cloudはどちらも、企業顧客にとって賢明な選択肢となり得ます。しかし、それぞれのベンダーと連携することによるメリットと課題は異なります。
Google Cloudのお客様は、Googleとそのエンタープライズクラウドサービスが現代のクラウド時代に構築されているため、Googleのクラウドファーストのアプローチを活用できます。広く認知されているAIと機械学習の先進性も、多くのお客様にとって魅力的でしょう。Googleの技術はこれまでも優れた実績を上げてきましたが、エンタープライズ顧客とのエンゲージメントを高めるために、業界特有の深い専門知識を持つ人材とパートナーを積極的に獲得し始めたのは近年のことです。
IBM Cloudのお客様は、IBMのエンタープライズ中心のアプローチの恩恵を受けています。IBMとその製品は、メインフレームからクライアントサーバー、クラウドまで、コンピューティングの様々な時代を網羅するソリューションを提供してきました。IBM Cloudは、高い信頼性、大容量、または高度なセキュリティが求められる企業や政府機関のシステムに依存し、特定のタスクを最新のクラウド・アーキテクチャーに移行したいお客様にとって、非常に理にかなっています。IBM Cloudのテクノロジーは、コンサルティングの専門知識と組み合わせた、高機能で多様なソリューションを提供しています。買収がクラウド・イニシアチブの大きな部分を占めるため、IBMはこれらの製品を統合し、一貫性のある統合クラウド・ソリューションを構築する必要がありました。
あなたのクラウド経験はどのようなものですか?
貴社ではGoogle CloudとIBM Cloudのどちらかをご利用いただくことを選択されましたか?その決定を後押しした主な差別化要因は何でしょうか?これらのベンダーの機能によって、貴社はより多くのワークロードをオンサイトシステムからクラウドに移行するようになりましたか?Google CloudまたはIBM Cloudのご利用経験について、ぜひTwitter(@awolber)でメッセージまたはメンションをお送りください。