私はスイートが好きではありません。小さなアプリケーションを使って
業務をこなすような大きなアプリケーションや、
あらゆる機能を備えた大きなアプリケーションは使いたくありません。グループウェアも好きではありません。しかし、小さくて信頼性の高いアプリケーションは好きな
ので、
一度に一つのタスクだけを処理するように設計された堅牢なアプリケーションをよく探します。
電子メールクライアントは、機能が多すぎることがよくあります。Outlook
やEvolutionのような大規模なグループウェアパッケージではなく、
シンプルな電子メールクライアントだけで十分な場合もあります。そこで、Linux向けの電子メール専用
クライアント3つを、今日の標準に照らし合わせて評価し、その実力を見ていきたいと思います。ここで取り上げる電子メールクライアントは、
Balsa、KMail、Sylpheedです。
バルサ
Linuxを使いこなせるようになった頃、
シンプルなメールクライアント「Balsa」の素晴らしさに気づきました。当時、このクライアントのおかげで、
テキストメールに頼る生活から解放されました。
Balsaアプリケーションのおかげで、Linuxが
PCの世界で十分に通用することがわかりました。10年前、まだベータ版だった頃から、この
アプリケーションは堅牢で信頼性が高く、使いやすかったです。拡張機能もスペルチェックも迷惑メール対策もありませんでした。Balsaは
メール
を読み、返信し、削除し、保存するだけのシンプルなものでした。
Balsaは、Linuxで初めて使ったメール処理専用のGUIツールでした。すぐに時代遅れになったMozillaの一部ではなく、
デスクトップのルック&フィールと完全に統合されていました。これは重要な点でした。Mozilla
を起動した時の見た目がいかに違っていたかは、今でも忘れられません。当時、私はLinux
デスクトップを旧式のUNIX風デスクトップとは一線を画すものにしよう
と必死で
、Balsaがその可能性を私に与えてくれたのです。
現在、BalsaはGNOMEデスクトップ用のメールクライアントです。かつて
GNOMEの開発者たちはオフィススイートの開発を計画しており、
Balsaはそのスイート用のメールアプリケーションとなる予定でした。
しかしながら、Balsaは現在もスタンドアロンで動作し、以下の機能を提供しています。
- ローカルメールボックス形式の
サポート (mbox、maildir、
mh) - ネストされたメールボックスを許可
- POP3とIMAPのサポート
- 印刷サポート
- スペルチェック
- マルチスレッド電子メール
検索 - MIMEサポート
- SMTPまたはローカルMTAの
サポート - GNOME統合アドレス
帳
メッセージの作成と閲覧に複数の文字セットを使用- 添付ファイル
- GPG/OpenPGP
署名と暗号化
Balsaのインストールは簡単です。rpmベースのディストリビューションをお使いの場合は、 yum
install balsaを実行してください。aptベースのディストリビューションをお使いの場合は、 apt-get install balsa
を実行してください。インストールプログラムは
必要なパッケージを取得し、少なくともlibESMTP
とGMimeをインストールして、必要な処理を実行します。
Balsaを初めて起動する際は、
アカウントを設定する必要があります。最初の画面はシンプルな「ようこそ」画面です。次の画面で
実際の操作が行われます。図Aは、
Balsaでメールアカウントを設定するために必要な情報を示しています。
図A
現時点では、受信メール サーバーの
種類は POP3 と IMAP のみです。
次の画面 (図 B)では、メール ファイル ディレクトリを微調整できます。
図B
デフォルトの Balsa ディレクトリは、
スタンドアロン インストールでも問題なく動作するはずです。
最後の画面では、Balsaを
デフォルトのメールクライアントとして使用するかどうかを尋ねられます。「はい」を選択すると、
Webサイトまたはドキュメント内のmailto:
リンク
をクリックしたときにBalsaが使用されるように設定されます。
Balsaの設定が完了すると、デフォルトのBalsaウィンドウが表示されます。
このウィンドウには、このメールクライアントのシンプルな美しさが表れています。このウィンドウを図C
に示します。
図C
Balsa は必要最低限の機能を備えた基本的な電子メール クライアントです
が、その機能は十分に果たします。
初期設定時に、受信メールサーバの名前を入力する欄がありましたが
、これはサーバ名ではなく、実際のアドレスです。
でもご安心ください。「設定」メニューから「環境設定」を選択すると、
この設定が可能です。「メールオプション」を選択すると、リモートメールボックスの設定が表示されます。図
Dは、Balsaが作成する3つの奇妙なアカウントを示しています。
図D
これらのアカウントのうち 2 つを削除し、
受信メール サーバーの設定に合わせて 3 つ目のアカウントを変更します。
バルサのアドレス帳
Balsaは標準的な電子メールクライアントとほぼ同じように動作します。
数少ない違いの一つは、アドレス帳の設定です。設定するには、
「設定」メニューから「環境設定」を選択し、「アドレス
帳」を選択してください。
LDIF形式のアドレス帳を追加しましょう。
ソースがどこであろうと、アドレス帳をLDIFリストとしてエクスポートする必要があります。エクスポートしたら
、Balsaに戻り、「追加」ボタンを押してリストから「LDIF」を選択します。新しい
ウィンドウが開き、エクスポートしたアドレス帳を検索します
。エクスポートしたアドレス帳を見つけて名前を付け、「追加」ボタンを押します。
これで、Balsaでアドレス帳が利用できるようになります。
Balsaは、メールフィルタリングの優れたツールであるProcmailを介して迷惑メールのフィルタリングを行います。
しかし、Procmailはあまりにも複雑なため、この記事のこのセクションでは取り上げません。迷惑メールの処理を除けば、Balsaは標準的な
メールクライアントです。学習曲線はゼロです。
Kメール
KMailはKontact
ツールスイートの一部ですが、スタンドアロンクライアントとしても動作します。KMailは
標準のKDEインストール時にインストールされますが、多くのKDEアプリケーションと同様に、KDEがなくて
も動作します。KMailはBalsaよりも少し複雑(つまり、機能が豊富)です
。KMailには以下の機能が含まれています。
- Maildir
サポート - アドレス帳
- 古いメッセージの有効期限
- OpenPGPを使用した自動暗号化
- POP3、IMAPサポート
- SSL/TLS サポート
- POP3のパイプライン
- オンデマンドダウンロード
- SMTP認証
- SSL/TLS 経由の SMTP
- DIGEST-MD5認証
- ネストされたフォルダ
- メールフィルターとローカル
配信 - メーリングリスト対応
- 外部メールクライアントの
インポート - 検索
- HTMLメールのサポート
- スペルチェック
- スレッド表示
- 複数のアイデンティティ
- 色彩引用
- バックグラウンド
送受信 - KDE統合
- POPUPアドレス補完
- メールバウンス(スパム対策)
- UTF-7サポート
- PGP/MIME サポート
- S/MIMEサポート
- カスタムアイコンと日付
ご覧のとおり、KMail の機能リストは
Balsa のものよりはるかに長くなっています。
KMailでは、メールアカウントの設定はほぼ説明不要です
。「設定」メニューから「KMailの設定」を選択するだけです。図F
に示す新しいウィンドウで「アカウント」ボタンを押し、「追加」を押します。
図F
KMail アカウントのセットアップにはトリックや
罠はありません。
KMailの最も興味深い機能の一つは
、証明書マネージャKleopatraです。これは、
GpgSMキーボックス内のX.509証明書の管理とLDAPサーバーからの証明書の取得に使用できるKDEツールです。
このツールは、OpenPGP署名で使用される暗号化鍵の管理が可能なため、パワーユーザー向けのツールです
。Kleopatra内で新しい鍵ペアを生成することも
できます。
KMailのもう一つの便利な機能は、フォルダやメールに有効期限を設定できることです
。例えば、30日ごとに空にしたいフォルダがあるとします
。そのフォルダを右クリックし、 「有効期限切れ」を選択します。すると、図G
に示すような新しいウィンドウが開き、
このアクションを設定できます。
図G
KMail では、既読メールまたは未読メールを異なる時間に
期限切れにするように設定できます。
有効期限が切れる電子メールの種類を決定したら、
その構成を設定できます。
KMailには、迷惑メール対策とスパム対策のフィルタ
ウィザードも含まれています。スパム対策ウィザードではSpamAssassinの設定を、ウイルス対策ウィザードでは
ClamAVの設定を行います。どちらのツールもLinuxでは急速に標準となりつつあり、どちらの
ウィザードもセットアップを容易にします。これらのツールを使用するには、「ツール」メニューから
起動したいウィザードを選択するだけです。
これらのツールを除けば、KMail はまさに
現代の電子メール クライアントに期待されるものすべてを備えています。
シルフィード
Sylpheed は、電子メール クライアントに期待されるすべての機能を備えたもう 1 つのスタンドアロン電子メール クライアントです。
- 優れた
UIを搭載 - 迷惑メールフィルタリングを処理
- 複数のプロトコルをサポート
- 国際化
- フィルターと検索
rpmベースのディストリビューションでSylpheedをインストールするのは、 yum install sylpheedコマンドを実行するだけです。インストールが完了したら、 sylpheedコマンドを実行します。
クライアントを使用する前に、最初のアカウントを設定する必要があります。
アカウントの設定は非常に簡単です。図Hに
必要な項目を示しています。
図H
ご覧のとおり、
このクライアントには設定できるより高度なタブがいくつかあります。
Sylpheed はセットアップが完了すると、期待通りに動作します。
特に便利なツールの一つがフィルタリングツールです。このツールは
2つの方法で起動できます。メールを読んでいる場合は、
「ツール」メニューから「フィルタルールの作成」を選択し、以下のいずれかの方法で起動できます。
- 自動的に
- 投稿者: From
- 投稿者: To
- 投稿者: 件名
設定メニューからフィルター設定を起動してルールを作成することもできます
。図Iに示すウィンドウでは、ルールを追加、編集、または削除できます
。
図I
ルールをリスト内で上下に移動して、
優先順位を変更できます。
Sylpheed には、もう1つ注目すべき独自の機能があります
。設定メニューから呼び出す「アクション」ツールを使うと、
メッセージファイルを処理するための外部コマンドを設定できます。例えば、
選択したメッセージを外部ビューア(例えばgedit)で表示したいとし
ます。これを行うには、ツールを起動して次のコマンドを入力します。
- メニュー名: Gedit
- コマンドライン: gedit %p&
「追加」ボタンを押すと、新しいアクションが「登録済みアクション」ウィンドウに表示されます。図J
をご覧ください。
図J
アクションを実行するには、
[ツール] メニューから [アクション] メニューに移動し、Gedit
エントリを選択します。
このツールは、正しく使えば非常に強力になります。KMail
やBalsaと同様に、Sylpheedは現代のニーズを満たす電子メールクライアント
でありながら、Linuxツールならではの機能も備えています。
最後に
長年にわたり様々なメールクライアントを試してきた経験から、
上記の3つのクライアントはどれも
あなたのニーズのほとんどを満たしてくれると自信を持って言えます。これらのクライアントのうち、BalsaとSylpheedの2つは
HTMLメールを正常に表示できないという最大の欠点がありますが、 Sylpheedの
ようにHTMLメールを外部から表示するためのプラグインを開発しているか、あるいは
優れた機能を備えているため、
この点は問題になりません。
もちろん、HTMLメールの表示機能が
不可欠な人もいます。そのような人には、HTMLメールを表示できるKMailが最適なクライアントです
。HTMLメール以外では、これらのクライアントはどれも非常に優れた機能を備えています。Linuxユーザーなら、
これらのクライアント
の少なくとも1つを試してみない手はありません。